MBA珍道中~ie business school class of 2017 (Jan intake)

三十路後半の僕が、日本から1万キロ離れたスペインで奮闘する様をお届けします

MBA受験記③GMATの悪夢

GMAT…個人的には、できればIEに進学した今、できれば思い出したくない。

ただ、それだと、自分の振り返りにならないと思うので、飛行機に乗る機会があったので一気に記憶を振り返ってみることとした。

GMATとはMBA受験にあたって大学院側から求められる能力適正テストで、TOEFLと異なり、1年間に5回までしか受けられないという回数制限が存在する。実は、他の専攻の欧米大学院は、たいていGREというほかのテストを採用しており、近年8割方のビジネススクールではこちらのGREでもスコア提出が可能である。それぞれの出題傾向には大きくことなる特徴があるものの、共通しているのは、英語で大学の授業を受けることができる英語力があるという前提で、国語(=英語)の読解、理論構築、文法訂正や英語での数学演算能力の適正を試されるテストとなる。私の場合はGMATしか勉強しなかったが、純ドメだった私、そしてGMAT受験時間が短くなってしまった私にとっては本当につらかった。

*実は、私が進学したIEは、もう一つ、学校独自の適正テスト(IEGAT)というものがあり、こちらでの出願も可能。GMATやGREのテストが微妙だとこちらの受験を勧められる。私もその口であった・・・。これはIEの面接等の回に詳細を回す

 

実はTOEFLに関しても、実はIELTSというケンブリッジ大学が実施ししている英語能力検定試験(もともと、英連邦の移民審査や留学生を対象としている)があり、こちらでもほぼ8割方のビジネススクールもスコア提出が可能である。これら2つのテストも、留学生の英語語学レベルを測定するという大枠は変わらないものの、出題傾向が全く異なる。TOEFLはすべてテストセンターでのコンピュータ試験に対し、IELTSはペーパーテスト+実際の人との面談である。

 

ここでテストの種類を述べることで何をお伝えしたいか、というと、みなさまにはきちんとこのテストの種類がそれぞれ英語と適正検査で2種類あり、そのどちらかがご自身にあっているかをカウンセラーさんや塾の先生と相談してから学習を始めるということである。ここで比較検討しないと、人によっては勉強時間や塾への投資にロスが生じる可能性が極めて高いからである。

 

たいていのMBA受験生は、ウェブの情報をかじり、「とにかくTOEFL+GMATだ!!」と私のように王道を突き進み、たいていどちらかで(どちらも)苦戦するのだが、そうではない選択肢があること事前に頭にいれてから、取るべき選択を決めておくべきである。当の私は、誰に相談する前に、TOEFL+GMAT直撃あるのみ!というパターンに勝手に決めてしまっていたので、最初のTOEFLが苦戦して1年かかってきた時点で、GMAT対策に大きなしわ寄せがでてしまった。TOEFL準備を開始して101点を取るまでに、なんと14年11月から15年12月まで1年1か月も費やしてしまったからである!

 

15年夏には、カウンセラー:木下氏からも、「16年春にどこか出願するんだったら、GMATそろそろ始めないとだめだよね」と言われ、この時点でGMATタイムアウトまでのカウントダウンが半年にせまっていることが発覚。実は16年春の出願は、当初は時間もないしできない、と見送っていた。しかし、自分の年齢を考慮すると、16年春入学で卒業して35代後半に突入=キャリアも考えると一刻も早いプログラム・インが望ましいということもあり、戦略的に16年春出願にも挑戦することとなったのであった。

つまり、16年春に出願する=16年春には遅くともエッセイとTOEFL/GMATすべてのスコアをそろえる必要がある=つまり、15年夏・冬で両方をとりきらないといけないことはわかっていたのだが、TOEFLだけしか15年夏までに手が回ってなかったことになるのである・・・。ここで木下氏がしんがりをつとめてくれていなかったら、と想像しただけで恐ろしくなる。

 

GMATは、Quantitative(数学)、Verbal(英語=その中でもSentence Correction/Critical Reasoning/Reading Comprehensionとセクションがわかれる)にAWA(ミニエッセイ)、Integrated Reasoningという大きく4パート構成のテストである。当初の勉強戦略は、Quantativeは自習(=マスアカ・・・Q用の参考書でウェブでみんな買っているそうです)をやればOK, VはSCとRCはTOEFLにないから単科で授業をとろう、という学習方針を木下氏と相談して決めた。

 

まず、TOEFLでも活用させていただいたYESの吉井先生が講師されている全16回のSC講座+GMAT文法講座を、15年夏から取り始めることにした。SCとはSentence Correctionの略で、GMATの英語の中でも最高峰に難しい!(と個人的には思う)セクションである。なんだ、文法訂正でしょ、と侮ることなかれ、ネイティブが見ても「どれでもいいんじゃない」という選択肢が4つ提示され、その中からロジックをもって正解を選び出さなければならないのである。

 

吉井先生の授業は、毎回過去問を事前に演習してきて、それを先生と答えあわせする形式なのだが、当初はこのセクションで日本人の理想といわれる正答率8割台には大幅に届かない最初4割台という惨状だった。すぐ吉井先生に相談したところ、そもそもGMATに耐えられる文法力がないかもね、ということになり、文法講座の受講にも相成った。この文法講座が、いくつかあるGMAT対策の塾の中でも一番印象に残っている授業であった。私たち世代(30代)は、中学から大学まで、基本的にはすべて英語を文法から学んできたはずなのだが、その中では教わらないこと、実は間違っていた!こと、アメリカ人(特にビジネススクールに行くようなビジネスマン)が使うべき書き方などを事細かに解説してくれる。留学経験のない私にとっては毎回ためになる話ばかりで、非常に参考になった。マドリードにも実は、英語ネイティブな元・ビジネスマンのクラスメイトとの格闘を想定して、お守り替わりにこの文法の授業のノートは持参している(笑)

 

SCの授業に戻ると、吉井先生は選択肢のもれなく正答であるか否かについて解説してくれるので、授業で不明な点は残らない。ただし毎回、相当な問題数(たしか25問くらい)があるため、すべてを時間をかけて予習し、解説を授業でノートに書き留め、復習していくのには相当な苦労がひつようである。ただ、そのSCの授業おかげ+文法の授業(全5回)がとり終わるころには、GMAT文法の基礎が整い、問題形式にも慣れてきたため、正答率が6~7割と安定してきた。

 

そこで次はCRだ!ということになり、カウンセラー:木下氏に紹介いただいたCRで定評のあるアフィニティ英語学院の飯島先生のRC講座を、15年11月から受講開始しした。CRとは英語のショートパラグラフを読み、それに対する設問の回答4択からロジカルに正しいものを選ぶという問題である。ですので、これも普通のネイティブはショートパラグラフの読解はできるけど、SC同様、ロジックがわからず沈没、というパターンが多い。私の印象だと、CRは読解というより、数学の真偽やベン図の授業でMECEの分け方等を習うが、このロジック推定に近い印象である。このあたりを飯島先生は問題ごとに「これはこのロジックパターンだよね」と解説してくれて、1問1問すっきりした答えに導いてくれる。これは、実はその後のMBAプログラム、そしてビジネスマンとしても必要なロジック構築力を鍛えることにもなるため、今後の人生にも役立つ授業となった。

 

そして16年1月、初めてGMATを受験。しかし、結果は大惨敗で500点にも届かず、思わずスコアキャンセルをその場でしてしまった。

 *スコアキャンセル:TOEFLと違い、GMATは良くなかった点数も含め、受験履歴をすべて大学院側に送付される仕組みになっているため、600点以上を示したい学生が400点台の点数を取ってしまうと印象が悪いのでキャンセル=なかったことにしてしまうのである。

ここにきて本当にGMATってやばいんだ、ってことを遅すぎるのだが実感。特にできると思っていた数学も伸び悩んでしまったため、木下氏に相談したところ、飯島先生の数学講座をすぐに受講するように指示をうけ、すでに1月開始の授業から滑り込みで受講を開始した。正直、マスアカでやったつもりになっていたが、自分だけで勉強しているとやはり詰めが甘く、マスアカでやったような問題なのに、解けなくなってしまっていた。問題は、問題文の英語を読解する力に加えて、文系(私だけ?)特有の「数学の問題をパターンで暗記しようとする」ところだった。飯島先生からは、文系でもともと数学が苦手だとすると、難しい解法パターンを今から習得しようとせず、極論手で数えたり書き出してできるものはベーシックな解き方にしていきましょう、というアドバイスをいただいた。実際、多くの問題は、難しい解法パターンを使わずとも、正答を導ける問題も多く、演習を重ねることで少しずつQuantitativeセクションへの不安が薄れ、自信へと変わっていった。最終的にQuantitativeは安定して40点ちかい点数を獲得することができた。

 

その後、GMATを2月3月と連続で受験。TOTAL620点を獲得し、あと一歩で600点台後半が取れるのでは?と思い、最後のVerbalパートの追い込みを飯島先生、そして同じくアフィニティの内宮先生にVerbalにて個別指導でお願いすることとなった。正直、この時にはすでにGMAT勉強にて自分の限界を感じてきており、この1か月で点数を詰め切らないと来年もう一度というのは相当つらい、と感じていたため、短期間に詰め込んでもらうことが目的だった。

 

そして臨んだ16年4月第4回。気合いをいれて臨んだものの・・・。

 

ここで痛恨ミス。まさかのスコアが500点代に逆流。ままこういうことはあると聞いていたがまさか自分に起こるとは。失意の中、あと1回受けるかも含め、速攻木下氏にテストの帰り道に電話でアドバイスを求めた。相当厳しいことを言われる(=今年の受験は無理だ!とか)ことを覚悟していたが、「とりあえず600点台は出ていて最低ボーダーは超えているのだから、失望しないで。今年の状況を見るとCambridgeは点数的に難しいが、IE専願にしてあとはエッセイに注力すれば十分戦えるのではないか」と温かい言葉をいただき、すぐにIE専願に向けてエッセイ作成にコマをすすめることにした。ここで私の短く苦しかったGMATと共に過ごした半年が終了したのであった。

 

最後になるが、GMATに関しては、本当にさまざまなブログにて「とにかく時間がかかる!」と出ていたが、自分にとってもMBA受験の中で一番苦戦したものとなった。とくに1月から3月の週末は、塾に行く以外はほとんど誰とも会わず家か図書館かカフェで勉強。飯もデリバリーかファーストフードで済ます生活。それでもやりきれたとはいえない状況で卒業となった。こうならないためにも、みなさんも最初から戦略的に、どのテストでスコアメイクするかを考えて行動いただければと思う。