MBA珍道中~ie business school class of 2017 (Jan intake)

三十路後半の僕が、日本から1万キロ離れたスペインで奮闘する様をお届けします

ie business school Report5 ソフトスキル関連プログラム

Term2もいよいよ終盤に突入。毎回で恐縮ですが、ほんと時間が経つのが早い。(こっちに来てから、1日6時間は寝るようにしているせいかもしれないが)

 

学校のプログラムは、先週~今週にかけて提出が設定された各科目のグルーブ課題でほぼTerm2も佳境に。Term1では手探り状態だったグループメイトとのコミュニケーションや作業分担が、Term2ではお互いの性格や人柄がわかってきたせいか、少しばかり効率が良くなってきた気がする。ただ、Term2になってからリーティングの分量が増加しており、土日も心休まる?ひとときがあまりなく、あくせく奮闘。そんなこんなしているうちに、来週もうT期末テストに突入してしまうので、あっという間にMBAの前半が終了してしまいつつある昨今だ。

 

今回は、Term2の授業紹介をしようと思っていたのだが、その前に、いわゆる「ソフトスキル系」の授業について紹介したい。IEではTerm1~2にかけて、隔週にてBehavioral Fitnessという授業がある。これは

例えば交渉術、自己分析、自己課題の把握・改善プランの設定、キャリアを含めたライフプランの立て方、などな・・・。

今までの私の経験上、この手の科目は、はっきり言ってまったく実践に役立たないものであるという認識が刷り込まれていた。たとえば、大学、企業の研修等で、たいていの方はこのような類似の経験はおありだとおもうが、どこまで実際に役に立っていたのかは疑問符であったかと思う。

 

ところが、このBehavioral Fitness、すでに30代後半の私ですが、環境と心持が変われば、相当ためになることがわかってきたのである。

 

Term1では、自己分析結果をもとに、自分と同じ種類の学校生活上の悩みや課題を抱えるもの同士がペアとなり、同じ課題を共有しながら、お互いの課題解決に向けた目標設定~数週間経過後の目標達成度の確認までがカリキュラムに組み込まれていた。私が設定した課題は「授業中やグループワークの中で、いつ、どのタイミング、そしてどのくらい正確な内容を発言したらいいか測りかねる」という、結構アジア人にありがちなものであったのだが、ペアになったのはまさかの陽気なお国柄のブラジル人。最初はお互いペアに強制的にされたので超ぎこちなかったのだが、彼から実はこういうところに課題意識がある、ということを先に打ち明けてくれ、そこから一気に共感が生まれ、彼との心の壁がほぐれ、お互いいろいろなことを共有・相談し、どうやったら同じような課題を少しでも良い方向に持っていけるのかを話し合うことができたのだ。これは非常に貴重なきっかけで、自分だけで課題を解決しようとした場合、周りが見えなくなってしまい、独りよがりになりがちなのだが、他人も同じ課題をもっているので、僕の場合、自分だけではなく彼にも有効となる解決法を考えるためには、必然的に客観的な視点も取り入れていくことになったことが大きかったと思う。また、教授のアドバイスも(個人的には)的確で、課題解決の目標設定に大いに役立った。この課題はTerm2においても解決に向けて努力中なのだが、このきっかけがないと、なかなかこの年になって自分から行動パターンを改めるきっかけがなかったので、非常にありがたかった。また、副産物?として、この授業をきっかけに、ペアをくんだ彼とは急速に仲が深まり、いまではすっかり仲良しにもなったし、お互い声を掛け合って、最近はどう?と相談を持ち掛けられる相手もつくることができた。

 

そして、そのBehavioral Fitnessの一環として、Term2の先月中盤に「360度評価」が行われた。これは、事前にウェブで前グループメイトすべてに対して各々50項目以上の評価+フリーコメントフィードバックを行い、実際授業時間内に彼らとお互いに対面でフィードバックを行うというものである。

 

このグループメイトへの評価付けが、まずは予想以上に時間がかかった。5段階評価をつけていくだけなのだが、項目数が50以上に及ぶうえに、10週間ともに苦楽を過ごした仲間でもあるので、なかなか極端な評価(特に低い評価)がつけにくかった。しかしながら、ここで日本的にすべて真ん中の評価にするとわけがわからなくなるので、できる限り濃淡を自分なりに各項目つけていった。更に困ったのがフリーコメントで、日本ですら、会社のチームメイトに文字にのこる形で評価を付けたことがなかったので、どこまでかいたらいいのかわからず苦戦。グループメンバーによって関係値の濃淡があったので、そこまで正直コメントを思いつかないメンバーもいたり・・・。結局、記入に数時間を費やしてしまった。

 

当日の授業では、特設サイトに自分のグループメイトからのアンケート結果がすべて集計されてレポート化されており、まずは教授がレポートの読み方を解説。その後、前グループメイトと久々の再開を果たし、直接フィードバックのコメントをもらうミーティングが設定された。このミーティングで私が新鮮だったのは、良いことも、悪いことも、ダイレクトにお互いに言い合うというカルチャーだった。僕の周りの社会人になってからの環境だと、良いことはまだしも、悪いことを直せ、とダイレクトに言ってくれる人って、新人のころの教育担当の先輩くらいしか思い出せないのだが、まさに教育担当の先輩に近い親身なアドバイスを与え合うのがこの前グループでの360度評価ミーティングだった。私も自分のもちうる(限りうる)英語力を振り絞り、なるべく相手が役に立つコメントをしようと努力した。やはり、どのメンバーも修正したほうがい良い点を指摘するのには言葉を慎重に選んでいたのは、大人のMBA学生同士の評価なのだとも思った。(一部、バトルになってしまったり、号泣する生徒が出てしまったグループも過去あったらしいが・・・)

 

この中で僕が改善点としてあげてもらったのはは、「発信量」をもっと増やすべきだ、ということ。自分としてはコミュニケーションを精いっぱいとっていたつもりではあったが、振り返ってみると、Term1は、英語力、そして外国人の気迫に負けて、話すタイミングを逸する授業や会議も多かった。そのため、発言はいろいろ聞く価値はあるのだが、もっといろんな場面で意見を聞きたかった、ということをダイレクトに言われた。ここで改めて気づいたのが、(最近はそうでもないのかもしれないが)均質化された文化の中で育った人がほとんどの社会の中でと、ダイバースな環境の中での情報発信は異なるやり方をとらないといけない、ということだ。機会をうかがって発言しない、また、雰囲気で伝えようとする、というのは、国際化が進む中、ますます僕個人、そして日本人全般的な価値を下げてしまうのかもしれないと危機感を覚えた。

 

また意外だったのは、自分ではそこまで気にかけていなかった効率性、自己規律、そしてまさかの柔軟性がグループ内でトップ評価だったこと。特に、最後の「柔軟性」は、知らず知らずだが、日本での学生生活と社会人になってからの経験のなかで身についていたのだろうか。確かに、いろいろな経験はしてきたほうかもしれないので、大量の課題がある中でもそんなに取り乱すこともなく解決に向けた道筋を考える、というのは国際的にみても慣れているほうなのかな、と思った。

 

ソフトスキル系のプログラムは、やもすると、否定的な意見も多いし、直接今後のキャリア(就活をする人は内定ゲットに、会社に戻る人は昇進?に)に結びつかないと考えるかもしれない。しかし、僕は、逆に、このソフトスキル系のプログラム充実は、私のような年食った学生には、もしかしたら最後になるかもしれない自分自身を振り返る新鮮な機会を与えてくれたと思っている。そして、今後の自分の軌道修正を行うよい材料になっていくと確信している。