MBA珍道中~ie business school class of 2017 (Jan intake)

三十路後半の僕が、日本から1万キロ離れたスペインで奮闘する様をお届けします

MBA留学を決意するまで

 16年11月下旬、僕は進学を決めたIE Business School(Financial TimeでフルタイムMBAでは世界12位にランクイン)のプレコースのため、マドリードに到着した。本当にさまざまな方のサポートがあって、いま、こうして渡欧する機内に自分がいる、ということは痛感しており、自分の経験を匿名にはなるが発信することで、少しでもこれからMBA受験をする方に何等かお役に立つことができればとも思っている。

 

あと、渡航してから、これからの1年間に若干の不安を覚え始めている(このままの英語力でやっていけるの!?、ダイバーシティあふれる環境に慣れることができるのか!?ゼロベースからの人間関係構築って大変そうだな!?とか)自分に、「おい、お前、今更何考えてるんだよ、いろんな人にお世話になって受験し合格し、自分で決めた道なのだから、前進あるのみ!だぞ」と渇を入れる意味もある。

まずは、前回に続いいて簡単な自分のバックグラウンドから。

私はハンドルネーム;ミニコング、現在、30代後半にさしかかったところ。いわゆる純ドメスティックな環境で育ち、30代に入ってからMBA受験を検討し始めた、このMBAの世界でいう遅咲きである。

大学卒業後、社会人歴が10数年、マーケティング・コミュニケーション業界にて経験を積ませてもらってきた。様々なお客様やパートナー企業様との人の縁に恵まれ、とても充実したキャリアを積ませてもらってきた。本当にみなさんに自分の社会人人生は作ってもらったものだと感謝している。

この中で、幸運にして、ここ数年のキャリアの中で、マーケティング・コミュニケ―ション領域に加え、新しいビジネス開発業務も担当することができた。たとえば、パートナー企業との新しい事業戦略の立案と実行(コンテンツやイベントビジネス、プラットフォーム開発)などがこれにあたる。

このビジネス開発業務はずっと「どうしたらある商品を消費者に買ってもらえるor認知を高めてゆけるキャンペーンを作っていけるか」を愚直考えてきた私にとって、少し未知な領域で、興味深い領域であった。また、この業務の中で、海外での事業も含まれており、いくつかの新興国の人と共同作業する中で、それぞれの文化や職業バックグラウンドによって異なるアプローチの違いや、活気を帯びた経済、そして、その国に住む人々の生きざまをまざまざと見せつけられた。

 

実は、前から新興国経済の急伸や米国経済の安定した成長に対し、高齢化等さまざまな問題をかかえる日本市場の先行きを、ただ一人のビジネスマンとして不安に思っていた。また、日本経済の活性化のため、そして、自分のビジネスマンとしてのスキルアップのために、いつか海外とかかわるビジネス開発に挑戦したいと、10数年来、ずっと思っていた。が、すでに気が付いたら、30代に突入してしまっていたのである。このままでは、評論家のような言葉をつぶやいて終わり、という人間で人生終わってしまうのではないか、という焦りが出てきた。また、今までの自分のバックグラウンドを考えると、基本的に国内作業が多く、いきなり海外との事業開発がしたいといったところで、今の会社内での異動できる可能性や、転職してこれが実現する可能性も高くはない、という冷静な分析もあった。

 

そんな堂々巡りをしているまさにその時、とある女性の先輩がスパッと会社を辞め、突然「ニューヨークで勉強してくる」と言って、ニューヨークに渡航していったのである。これは私にとって衝撃だった。なぜならば、これまで留学を検討できるチャンスが僕にもあったことは事実であるが、その時々の勉強、仕事、家族の状況を考えると、そのチャンスを選択してこなかった(避けてきた)自分にとって、自分と近い年齢の方が自らキャリアチェンジや自己研さんに挑む姿を身近で見せつけられたからである。

 

ちょうど2年前の夏休み、彼女を訪ねニューヨークに行った。僕が知りえないご苦労もたくさんされたうえではあると思うが、彼女はニューヨークで語学を学び、様々な新しい人と出会い、すごく生き生きとしていた。彼女のお友達も素敵な方々ばかりで、皆、海外に出て新しい経験を積んだことが自分のキャリアに役に立っていることを聞かせてくた。

僕は、彼女が充実した海外生活を送っていることがすごくうれしかったし、すごく羨ましかった。同年代の彼女は、自分で海外での生活や学びを選択し、実現しているのである。翻って自分は、どうなのか?今まで、自分のキャリアの中で、自分から積極的にキャリアを切り開いていこうとしていたことがあったのか。帰国の途で、自分の行動を猛省した。

 

帰国後、様々な国の多様な人々とのコミュニケーション経験を強化すると同時に、ビジネス開発に対する知見を深めるための手法を探し始めた。いきなり一か八かで海外転勤を願い出るか。はたまた、英語をそもそも鍛えるためにまずは国内で語学を強化すべきか?何人かの友人や先輩に相談したり、ウェブの関連情報を検索したりしてみた。

そこで出てきたのが「海外経営大学院=MBA」という選択肢、であった。それまでそこまで気にはしていなかったが、同僚の何人か、大学時代の友人も何人かが、MBA留学をちょうど前後でしていたのを思い出した。

早速、彼らにヒアリングしてみると、どうやら、自分の目指すことはMBAでは両立できるらしいということと、今の勤務先では、私費での留学で休職ができる可能性があることを発見したのである。

この時、私は、直感的に「すでに30代中盤に入ってしまった自分が、自分の望む方向のスキルを手に入れ自分の思い描く業務に就くには、これしか方法がない」と思った。これが私のMBA留学のスタート地点であった。時期にして14年10月。今から2年1か月前の話であった。

 今回はここまで。次回は、実際のMBA受験生活を徐々に書き留めていくこととする。