MBA珍道中~ie business school class of 2017 (Jan intake)

三十路後半の僕が、日本から1万キロ離れたスペインで奮闘する様をお届けします

ie business school Report 11 Final Integrated Exercise (卒業試験)

今回はFinal Integrated Exercise(卒業試験)についてご紹介したい。以前のブログで「IEの売りはカスタマイズ性である」と述べたが、これは卒業試験にも当てはまる。卒業試験がすべてのビジネススクールにあるかはわからないのだが、IEの場合は設定されており、これを以下の3つから任意で選ぶことができる。

  • Impact Project (企業コンサルティング)・・・私が選択したもの
  • Venture Lab(起業ビジネスアイデア提案)
  • Final Case(ケースプレゼン)

そのため、それぞれの選択肢について個別に説明を加えていきたい。(自分が選択していないものについては、概要についての説明となってしまうがご了承いただきたい)

 

個人的なお勧めは、①か②のいずれか。後述するが、③に比べて、時間も手間もかかるが、MBAの最後に、自分が選んだクラスメイトとグループを組み、最後に大きなプロジェクトをまとめ上げていく経験は、二度と得られないものであると思うからだ。

 

CoreやLanで学んできたこと、そしてElectiveで勉強していくことを活用し、実際の企業が抱える経営課題に対してのソリューションを提案するのが本試験である。コンサルティングする企業は、学校が用意したものが30~40プロジェクトすでにあり、8月末に発表され、9月第1週にどのプロジェクトに自分のグループ(4-5名)が参加したいか投票を行う。

学校が用意したプロジェクトは大企業からスタートアップまでさまざまで、グループの目指す方向性によって自由に選べるし、自分が特定の企業に興味があり、その企業とつてがある場合は、プロジェクトを自分からIE側に提案も可能だ。(これも同じく9月第1週のプロジェクト投票前にIE側にグループメンバー登録とともに申請を行う必要がある。)その後、9月中盤には学校側からどのプロジェクトにどのグループがアサインされるかが正式に発表され、そこから本格的にプロジェクトがスタートする。

それぞれのプロジェクトにIEの教授がメンターとして自動的にアサインされる。このメンターが基本的には各コンサルティング先の企業との窓口となり、9月後半にプロジェクトが承認されて以降、定期的に(=頻度はプロジェクトによって異なっていたらしいが、私のグループは毎週)、企業担当者とともに定例のミーティングを行う。この中で、企業の課題・問題や業界について理解を深めながら、いままでCoreとLab、そして同時並行で学ぶElective Periodでの学習内容を実際の企業向けソリューション提案として形にしていく作業を行っていく。

私は通信機器の会社の事業開発プロジェクトを行い、毎週、企業と面会しながらステップを重ねていくのだが、本当のクライアントと同様、(意図的に???)、ヒアリングするたびに課題や問題意識がずれてしまったり、担当者と突然連絡が取れなくなるなどのハプニングが頻発。内心、イラっとする機会も多かったが、お客さんと考え心を静めつつ、作業を進めていくのだった。

最終試験は、企業、メンター、そしてSecond Faculty (IEの教授ではあるが、メンターとは全く関係ない方)への質疑応答も含めた30分間のプレゼン。当日は久々にスーツを着て、本気モードで臨んだ。プレゼンもスクリプトを書き上げ、できるだけナチュラルに話せるよう当然暗記+アドリブも入れながら入念に準備した。当日は、緊張したものの、あっという間に30分が終了。終わった瞬間、卒業がぐっと近づいて感じたことは言うまでもない。

 

全体の中でおそらく50%くらいの人がImpact Projectを選択していたと思われる。

 

 

  • Venture Lab (起業ビジネスアイデアプレゼン)

企業アイデアを持つものがグループを作り、IMBA生卒業のタイミングごとに行われる一大イベント IE Venture DayでのアイデアピッチにてVCや投資家から起業資金を勝ち取るのが本試験の最終目標。Impact Projectとは一味違い、自らEntrepreneurになりたい人が血気盛んにアイデアを磨いていく。基本的には、Lab PeriodにてStartup Labを選択し、すでにその中でアイデアをまとめていた人や、Startup Labでビジネス開発に触発され、夏休みにアイデアをまとめあげていた人が多かったように見受けられる。

この卒業試験を選択するには、Startup Labのように、自分のビジネスアイデアとチームメンバーを学校側の審査に出し、通過する必要がある。そして、ElectiveにてVenture Labというビジネスアイデアをビジネスプランに昇華していく実践的な授業をとるのが前提となってくる。

Impact Project同様に、各プロジェクトに教授がメンターとしてアサインされると同時に、定期的に投資家やVCからの意見ヒアリングとピッチが行われていたようで、それらをもとに、最終的に70以上あったプロジェクトから、Venture Dayで5分プレゼンができるFinalist 10組、1分のエレベーターピッチができる20組が選出される。

Venture Day当日は、ある意味、同級生がガチンコで投資家にプレゼンするので、Venture Labを選択していた生徒も、私のように選択していなかった生徒も一同に会場に集結し、その行方を見守るとともに、応援を行う。プレゼンされるビジネスアイデアも、IT分野に偏ることなく、国籍、性別さまざまな学生が精魂込めてプレゼンをおこなっており、どのプレゼンも非常に魅了されるものだった。この卒業試験およびイベントは、IEのさまざまな特徴をよく表すプログラムであり、同級生との一体感を再確認できるものだった。

ちなみに選択していたのはおそらく40%程度。

 

  • Final Case(ケースプレゼン)

こちらは①・②とおおきく趣が異なる。9月後半から2か月近く及ぶ事前の準備は不要で、11月末に発表されるケーススタディを読み、そのケーススタディで取り上げられた企業の課題を精査し、それに対する解決策や提案を、5日位の期間を経て審査員となる教授にプレゼンする。ケースはどの授業でもとりあげてない、できるだけ最新のものがピックアップされ、当然、毎intakeのケースは異なる。

この最終試験のデメリットとしては、①・②に比べて、試験が遅く設定されているため、最大1週間程度、ほかの試験より学校で勉強する時間が長くなってしまうことだ。多くのクラストリップ(卒業旅行)はこれを加味せずプランされてしまうことがおおいようで・・・。ちなみに、選択する人の多くは、Dual DegreeまたはLong ExchangeでElective期間内に定期的に時間が十分に取れない人、または就活に集中したい人が選ぶ傾向が多く、全体で選んでいるのは10%程度だった。

ie business school Report 10 Elective授業詳細

 

今回は150ある授業からshort exchangeを除いた、僕が履修した8科目についてご紹介する。たまたま僕は全部とりたい希望をだした科目をとれたが、結構投票でのポイントアロケーションに結果的に失敗して、再投票している人も多かった。全般的な印象は、Coreの時より、個別のテーマ設定が細かく、より実践で使いやすい内容が多い。

ちなみに、Electiveは選べるので、参考までに個人的な評価(5段階評価)もつけてみる。

 

ADVANCED STARTUP BUSINESS MODELS

セッション数・10/評価ベース;グループ・プレゼン、個人:レポート

デジタルスタートアップのビジネスタイプについて分類し、ビジネスタイプごとの留意点、リスク&リターンの程度、競合の状況などを細かく説明していく。教授はスペイン人のエンジニアリングバックグラウンドで現役の投資家(VC)の方というのと、10回という最小コマ数での授業であるため、講義内容にまったく無駄がないのと、最新のベンチャーネタも多いので聞いてためになる。講義内容を基に、スタートアップを取り上げ、ビジネス構造の開設をするのがグループプレゼンテーション。ちなみに教授がCore PeriodのEntrepreneurial Venturingと同じ方で、とても人気Votingなので外れてる人も多かった。

個人評価:★5つ

 

BUILDING BRANDS WITH CONTENT MARKETING

セッション数・10/評価ベース;グループ・プレゼン&レポート、個人:レポート

コンテンツマーケティングについて深堀していく授業。コンテンツマーケティングがどんなタイプの企業に必要で、どんなタイプのものがあるか、最後のグループプレゼン&レポートでは学んだ内容を基に企業のコンテンツマーケティング戦略について発表する。教授はアメリカ人でシラバスを見た感じビジネスバックグラウンドはなさそう。そのためか、教え方がいわゆる少しAuthorativeな感じもした。(僕は気にならなかったが)あと、授業内容はベーシックは良いが、内容のアップデートが足りなかったので、要改善か。

個人評価:★3つ

 

GEOPOLITICS FOR BUSINESS

セッション数・15/評価ベース;グループ・プレゼン、個人:レポート

マスターの授業にふさわしい格調の高い授業。前半ではビジネスでかかわる世界主要地域の地政学についてエリア別に解説するとともに、後半ではどのような要素(テクノロジー、戦争、外交政策)が現在の地政学に今後作用していくかを取り上げていく。グループプレゼンは各グループトピックを設定し、講義の内容を基に分析をすすめ発表する。教授はカナダ人で、過去投資銀行やコンサルにもいらっしゃったLBS出身の方で、とにかく毎回のリーディングの量も半端ない(最初のほうは60ページ以上)が、毎回の講義の内容も相当充実していた。

個人評価:★5つ

 

INTERNATIONAL MARKETING

セッション数・20/評価ベース;グループ・レポート、個人:試験

様々な企業が国際展開していく際に必要なマーケティング戦略を、地域が抱える課題、地政学、政府の動きなどから考えていく。アルゼンチン出身の教授が歴史好きなので、どうしても地政学に偏ってしまい、企業の国際展開についての講義が1/3以下になってしまうのが欠点。個人的には、Geopoliticsを取っていたので、もっと企業がどうGeopoliticsに対応して戦略を立てていくべきなのかを知りたかったのだが、前段に重きが多すぎた。あと、結構話の脱線も多く、好き嫌いが大きく分かれるところに。

個人評価:★2つ

 

LEAN THINKING

セッション数・15/評価ベース;グループ・プレゼン、個人:プレゼン

今流行りの「Lean」についての概念と様々なビジネス業界にどう当てはめていくか、というコンセプト導入のための講義。エレクティブの割には、特定のジャンルにフォーカスせず、いろいろな業種でのLean method導入について学んでいく。改善や看板、現地現物、ムダなど、トヨタのオペレーションから発生した用語がオンパレードで、日本人が活躍しやすかった。最後の個人プレゼンも「Pecha Kucha」プレゼンテーションという、日本から生まれた「40スライド、6分、スライドは写真イラストのみ」というLean Presentation方式。教授はラグジュアリーブランドや工業機械等幅広い分野でオペレーションの経験があるスペイン人のエンジニアで、パーソナリティ豊かで面白かった。

個人評価:★4つ

 

MANAGING BIG DATA

セッション数・10/評価ベース;グループ・プレゼン、個人:レポート

企業のマネジメント層候補生として、今後BIG DATAをどう向き合い、活用していったらよいかを指南してくれる授業。BIG DATAに関わるシステムやアルゴリズム、マシーンラーニングについての基礎知識を前半に叩き込まれ、この演習が個人レポートに。後半はBIG DATAと向き合う際に企業に起こりうる問題やその対処法について学ぶ。Advanced Startup Business modelと同じスペイン人の教授が担当するのでこちらも人気があり、Votingで授業枠をゲットできない人が続出。こちらも授業の内容に無駄がないが、10セッションに押し込むためにとにかく教授が話しまくる。

個人評価:★5つ

 

STRATEGY IMPLEMENTATION

セッション数・10/評価ベース;グループ・プレゼン、個人:レポート

Core Term2で学んだCorporate Strategyをどう実行していくかを検証していく授業。どんな企業の業界、形態そして成長ステージにおいて、どんな戦略が有効で、どう実行すべきかをケースを通じて検証していく。教授はスペイン人のアクセンチュアでのコンサル経験がある方で、実際に戦略を立てるだけでなく、どう戦略をその企業に合った形で実行に移すかにこだわりがあり、戦略の立て方から、戦略をどう実行する環境を作るかというところに焦点を置いており、非常に興味深かった。

個人評価:★5つ

 

TECHNOLOGY & BUSINESS STRATEGY

セッション数・20/評価ベース;グループ・プレゼン、個人:レポート&試験

IT革命やBIG DATAの活用が叫ばれている昨今、どのようなITストラテジーがどのようタイプの企業に有効なのかを検証していく。社内外のどんなターゲットに、どのような目的で、どの手段で実行に移していくのかをIT戦略に絞って深堀していくのだが、昨今、IT戦略=コーポレート戦略ともなるので、企業の王道の課題を検証していく授業ということになる。Strategy ImplementationやBig Dataとの相性が非常によく、重複して受講したことで一部内容はかぶったものの、理解が非常に深まった。教授はMasterまでComputer Science,その後、Business AdministrationにてハーバードPhDを取ったニカラグア人で、恒にコンテンツも新しい内容に毎年刷新しているよう。ちなみに最終試験は、「初音ミクのビジネスモデル」に関するケースを読んで10個の質問!にこたえるという、今までで一番時間の制限がきついものだった・・・。

内容にアップデート

個人評価:★5つ

 

これで私の授業のレビューは最後となる。振り返ってみると、ケースはおそらく300個くらいは読んだし、ほかのテクニカルノート(用語や背景を深堀する補助教材)や教科書を入れると相当の情報をインプットしたうえで、授業に臨んだこととなる。もちろん、全部内容を丸暗記はしていないが、相当部分は自分の頭で考え、授業でクラスメイトとの発言を聞きながら自分も意見を述べていくので、ただ講義を聞いているより、よほど頭に残っている気がする。あわよくば、卒業する今の英語力が、最初からあったら学びがより深まっただろうな、とは思うので、これから受験される皆さんは、日本でできる限り英語力をあげていかれることをお勧めする。(特にリスニングと、スピーキング!!!!)

ie business school Report 9 ショートエクスチェンジ in Elective

ついに12月に突入!まさに今週、卒業試験を終え、1つの科目のグループワーク以外はDoneとなってしまった。つまり、私のMBAプログラムが終わりを迎えつつあるのだ!

慣れないことの連続であったが、本当に1年間があっという間だった。

反省はブログの更新がままなっていなかったこと。

ブログの更新くらい簡単にできるだろう、とたかをくくっていたが、いざやろうとすると、日本語で自分で考えていることをまとめる作業が、英語での学校での勉強での作業と全くかみあわず、どうしても先送りしてしまうことが多かった・・・。

さて忘れないうち、今回はショートエクスチェンジについて、そして次回はエレクティブの各科目、そしてその次に卒業試験について書いていきたい。

10月第3週、エレクティブの選択科目の1つとして、グローバルネットワークウィークのショートエクスチェンジにて、チリ・サンティアゴのUniversidad Catolicaにて授業を受けてきた。マドリードから乗り継ぐこと18時間(直行便だと14時間)、初めて南米に到達した。初の南米に加えて、IE以外の世界のMBAプログラムから学生が集結するため、新しい出会いに気持ちが出発前から高まっていた。

 

このグローバルネットワークウィークについて、まずは説明したい。これは正式名称をGlobal Network for Advanced Managementと言われるプログラムで、世界の20校以上のトップレベルのMBAおよびMaster in Managementを持つ大学院が提携し、年に2~3回、1週間、お互いの学校に生徒を相互交換するプログラムである。ヨーロッパからはIE, INSEAD, IMD,HEC、北米からはHaas, Yale, Sauder、アジアからはHKU, NUS、そして南米からはCatolica, FGV(Brazil)、そしてアフリカからも主要校が参加している。それぞれの学校が、地域そして自校の特色を生かした特別プログラムを用意しており、事前にプログラムの内容を精査しながら、学校を選ぶことができる。

http://advancedmanagement.net/members/member-schools

 

学校の選考は、エレクティブの選択投票にてグローバルネットワークウィークに何ポイントと投票するか、また、そののちに提出する第3希望までの派遣先リストを基に総合的に決定される。そのため、中には第3希望までに調整できない生徒もおり、そういった場合は再投票期間内に他校への派遣を調整するか、また、短期交換をあきらめてほかの授業をとることになる。(エレクティブの投票システムは前回の投稿を参照いただきたい)

 

今回は10月にて、約15校の間で短期交換留学が行われており、この中で私はチリにあるUniversidad Catolicaを選んだ。理由は以下の通り。

  • プログラム

テーマが南米に特化したビジネスモデルを集中的に学ぶ「Business model in Latin America」であったこと。日本にいると、地理的にも遠いため、南米でどんなビジネス上の特徴や課題があるか、情報が入ってきにくいため、視野を広げる絶好の機会だと思った

  • ロケーション

この交換プログラム前まで、私は南米に行ったことがなかった。正直、1週間の交換プログラムであるため、プログラムでの学び以外にも、行ったことがないロケーションに行ってその国・都市の雰囲気を味わってみたい、と思っていたため、こちらもよいチャンスだと思った

  • 南米出身クラスメイトからの勧め

この要素が、実は相当でかい。事前に仲が良いメキシコ人、ペルー人のクラスメイトに食事をしながら南米ならどこの国に行くべきかを相談したのだが、初めて行くなら治安、文化、そして政治的にも安定しているチリが、日本人の僕には南米入門編としてはぴったりだとお勧めされた(実際、行ってみてそう思った)

 

 

本当は前後で数日、サンティアゴ周辺の観光を組み込みたかったのだが、前週の金曜昼にプレゼン、翌週の月曜朝10時半から授業が入ってしまっていたので、泣く泣く金曜授業後に出発し、日曜朝に帰国する日程で現地へと向かった。(うまく選択科目を調整できた人は、前後にて観光をしていた!)

 

プログラムは直前になって詳細が発表され、想像以上にインテンシブなものだった!朝8時半から13時くらいまでは毎日座学の授業が組まれており、午後はほぼ毎日、企業訪問がパッケージされていた。おまけに、毎日、グループ課題と個人の課題も設定されており、正直、平日は観光する余裕が全くなかった。(それを踏まえてか、プログラム開始前の日曜に、任意参加のデイトリップが組まれており、チリ出身のノーベル賞受賞作家:ネルダのゆかりの地であるイスラ・ネスラにクラスメイトと行くことはできた。)

 

午前中の授業は、ラテンアメリカ経済の基礎から、IEではなかなか読む機会がなかった南米企業を題材としたケーススタディ(LATAM, Arauco)とそのディスカッションを行った。印象深かったのは、チリがラテンアメリカの中でも、特異に経済・政治が安定しており、かつ国内マーケットが小さいため周辺国に企業が活動を広げていること、また、第1次産業(資源輸出)が今でも経済の柱であり、資源価格のアップダウンが経済状況にダイレクトに影響をもたらすこと、そしてそれが数十年かけてもなかなか変革できていない(製造業やサービス業が育っていていない)ことだった。

 

午後の企業訪問は、チリを代表する企業3つを訪問した。

-Entel (通信会社・元国営)

-AEGenes (資源エネルギー)

-CCU(酒・ソフトドリンク大手)

いずれの会社も、チリを起点に、ラテンアメリカワイドに企業活動を広げており、実際に経営層から彼らの経営戦略や課題を聞けたのは新鮮だった。

 

また、1週間ではあったが、IE以外の学校の生徒と知り合えたことも大きな成果だった。生徒は南米各国、北米、ヨーロッパとアジア(主に中国)からほぼ偏りなく集まっており、中にはIEのMIM(Master in Management/ MBAと似たプログラムだが、職務経歴を問われないもの)を卒業後にUnpluggedで長期交換留学している生徒も含まれていた。交換生の中にはパートタイムプログラムの方も含まれており、仕事をしながらMBAプログラムをどう進めているか、また各企業での職務内容などを伺うことができて、とても新鮮だった。

 

この短期交換プログラムの唯一のネックは、「交通費と宿泊費は自腹」というところ。人によってはMBAに大量にお金を費やしたのでこれ以上は無理!という方も当然いるだろう。ただし、事前に余裕があれば、この交換プログラムに参加した場合の費用を算出し、ローンを組むなど費用建てをすることを強くお勧めする。なぜならば、IEのプログラムは確かにダイバーシティあふれる生徒とともに学べる良い環境なのだが、何事も人間、10か月同じ環境にいると「慣れ」が来てしまうためだ。あえて新しい環境に挑戦してみるという意味で、

このショートエクスチェンジは、私は費用をかける意味があると思う。

 

ie business school Report8  インターンを終えて&エレクティブの仕組み

10月も中盤になり、卒業式(12月15日)まで、あと2か月のカウントダウンに入ってしまった。9月生も入学し、学校に新鮮な風が流れ込んできて、なんだかとてもすがすがしい。

 

さて、このブログの更新が途絶えてしまった3か月、何をしていたかというと・・・。

 

私はインターンシップとエレクティブの始まりを怒涛の勢いで3か月間を過ごしていたのである。6月末に日本に帰国し、7・8月はインターン研修生として9~18時で平日は勤務し、土日は久しぶりにお世話になった方との会食でほぼ埋まり、あっというまに9月第2週にマドリードに戻る。戻ってすぐ、提出しなければいないインターンレポートを書き上げながら、エレクティブの授業に臨んでいた。自分のキャパの限界から、自分の行動を振り返る余裕がなかったのである・・・。

 

まずはインターンの振り返りからしたい。

9週間行ったインターンシップはテック系の会社で行った。守秘義務事項が多く、内容についてはここで語ることはできないが、総論としてとてもよい経験であった。なにせ、30半ばになって、インターンができるチャンスは人生でもうほぼないし、そんな貴重なチャンスを興味があった会社にて過ごすことができたのは刺激になった。また、今までの自分の仕事の進め方、IEで勉強したことをいったん棚卸して、ほかの会社でこれらがどれだけ活用できるのだろうか?と試す絶好の機会だったし、企業文化を知ることができるのもよかった。

ちなみにIEと企業が提携して行う「IMBA in Practice」にてインターンを行ったので、このインターンはLab periodの単位となったのだが、この単位をもらうための最終レポートがかなりつらかった。インターン前、最中、最後のReflection report (各1000-1500 words)

に加えて、Final project analysisは6000words!!こんな長い英文レポート書いたのは初めてだったが、振り返りの機会としてはよいものだった。

 

インターンは、一部のケースでは就活にも直結しているが、それ以上に僕の中では、自分の強みや弱みをとらえなおすことで、今後のキャリアプランを練っていく材料になったという意味で、やってよかったと思う。そのため、留学はいろいろな立場を抱えていらっしゃる方が多いので、全員インターンができる状況ではないと思うが、(このIMBA in Practiceを使うか否かは別として)できるだけインターンにチャレンジすることをお勧めしたいと思った。

 

そして、今回はエレクティブについても、その仕組みについて書きたいと思う。

 

エレクティブとは、13週間に及ぶIE business school International MBAの総仕上げの学期である。授業は自分が好きな科目を、100を超える科目の中から好きなように組み合わせ、授業数が120~145コマに収まるように履修プランを立てる。日本の学部で言うと、教養が終わった後の専門科目の選択に近いだろうか。

 

科目はファイナンス、アカウンティング、マーケティング、ストラテジー、オペレーション、デジタル&IT、そして、ヒューマニティ系の科目がそれぞれ豊富に用意されているので、結構迷うことになる。(ちなみにこのエレクティブの中に、グローバルネットワークウィークも含まれているので、この段階で希望があれば選ばないといけない)

 

僕はファイナンス、アカウンティングはコアでの必修の際に、「自分の分野ではない」と判断してしまったので、自分の強みを伸ばすという意味で、マーケ・ストラテジー・デジタル&ITに特化(+一部ヒューマニティ)して科目履修する方針を立てた。そして、5月くらいにすべての科目とそのシラバスが発表となると、興味がある科目のシラバスを片っ端からダウンロードして読むこととなる。ケースよりは気軽に読めるものの、どのシラバスも5-10ページはあるし、どんな授業の内容・構成で、どんな成果物をださなければいけないのかをチェックしないといけない。最終的には、40科目のシラバスをダウンロードして、すべて読んだうえで、比較して自分の選択を絞り込んでいった。また、日本人の中では、先輩方から引き継いだ日本人視点での「エレクティブ虎の巻」があるので、これも参考にしてみた。

 

ちなみに、科目の履修申請手順は以下のとおりとなる。

 

コンセプト:

 自由に科目が選べるものの、完全に自由だと収拾がつかないので「ビッディング」を採用。

 自分に持ち点が1000点与えられ、履修時間が120~145コマに収まる範囲で、科目を選び、自分がプライオリティの高い科目に好きなだけポイントをビッドできる。ポイントが高い人ほどその科目に優先して選ばれる。

 

タイムライン:

  • 予備ビッド

 5月中旬と6月前半に予備のビッディングが行われる。これは学校側からだと生徒の需要把握の目的があり、このビッドが本番のビッドを縛ることにはならないものの、この段階で履修希望者がゼロの科目は開講しなくなるので、自分が希望する科目をきちんとビッドしておくべき。

  • 本番ビッド

7月前半に実施。(インターン最中なのでばたばたしててうっかり忘れそうになった・・・)2回の予備ビッドでの各科目へのビッド点数平均値が出てくるので、これを参考に本番のビッドを行う。ただし、選挙でもそうだが、本番になって劇的に変化する科目(急激に平均ビッド点数が上がったり、下がったり)があるので、これはどうしようもない。

  • 予備ビッド

8月後半に9月開始授業、9月中盤に10月~11月開始授業の予備ビッドがある。ビッドの結果、120コマに足りてない人や、145コマまでとってしまったが減らしたい人はこの期間に調整できる。

 

そして、最終的にビッドの結果、以下の科目を履修することとなった。

 9月 Lean thinking(operation), Building Brand with Contents Marketing

 10月 Geopolitics, Strategy Implementation, International Marketing (・・・一部11月にまたがる) + Global Network Week (僕はチリのハーバード!と言われるUniversidad Catolicaへ)

  11月 Technology and Business strategy, Managing Big Data, Advanced Startup Business Model

 

運よく、たまたますべての希望科目でビッドに成功したのは幸いだったが、Global Network weekのビッドだけは思い通りにいかず、予備ビッド平均の3倍!のビッドがなされていたため、第1希望の学校(知名度につられてYale…)にはならなかった。結果、南米に初めて来れたのでよかったのだが。

 

次回はちょうど来週1週間でチリでのGlobal Network Weekが終わるので、それについて書きたいと思う。その次の回以降で、9月~10月で履修を終えたエレクティブの科目や卒業試験!について説明していきたい。

ie business school report7 Term1授業詳細

Term2に続いて、Coreが終わる前にまとめて書いてしまう。

振り返ってみると、Term2に比べると、やや卓上的な知識が多めったかなという印象。また、結構クラスによって教授が違うと内容も変わったりするので、参考資料としてみていただければ。

また、評価ベースに関しては、すべての科目、Particiaptionは何らかとられているので、それを抜きで書いている。(Term2も同様)

 

ENTREPRENEURIAL MINDSET (起業、そして起業家とは)

セッション数・15/評価ベース;グループ・プレゼン&レポート、個人:レポート

IEの看板授業導入編。今時の流行はテックをつかった起業だと思うのだが、この授業で教えてくれるのはテックありきではなく、まずは「顧客ニーズ」の掘り起こしをしないと、サステイナブルなビジネスにならないよ、というところ。すごくあたりまえなのだが、だれしも自分で思いついたアイデアや作り出した技術は当然いとおしく、価値あるものだと思ってしまいがちだが、冷静になれということを頭から言われる。また、起業にあたっての構成メンバーの作り方や、実際のエレベーターピッチ風な短時間でのアイデア説明の方法などもカバー。教授は実際に何度か起業している卒業生で、自分の成功・失敗体験談も面白かった。

 

FINANCIAL ACCOUNTING(商業簿記

セッション数・20/評価ベース;グループ・プレゼン&レポート、個人・ファイナルテスト

いわゆる商業簿記。レベルは2級くらいか。2級以上の知識があれば、そこまで新しいことはないかも。僕はTACで渡航前に駆け込みでやったレベルだったので、とてもよい復習になったのだが、いかんせん会計の用語を英語で覚えなきゃいけないのがややこしかった。たぶんアカウンティングのバックグラウンドがある人にとっては、ちょっと物足りなかったかも。教授はIEのプログラムディレクターも兼ねた人で、カバーする授業内容は多かったものの、最終的なファイナルテストはTerm2で必要な知識に絞り込まれており、よく構成が練られていると感心した。

 

INNOVATION IN A DIGITAL WORLD(デジタル革命が起こすビジネス変革)

セッション数:15/評価ベース;グループ・レポート、個人・中間テスト

Term1で1番人気かつ僕も好きだった授業で、これもIEの看板科目の一つ。(ほかの学校だとないかも)現代においてデジタル革命が様々な変革を社会にもたらしているが、これを10個程度の大きなテーマに分けてケーススタディを通じて学んでいく。皆が知っている有名企業のケースも多いが、Term1の導入としては親しみやすく、企業の選び方もよかった。また、印象に残っているのは、いくらデジタル革命が起こっていても、それを担うのは「人間」であり、その「人間」のモチベーションを上げるための組織づくり、きっかけ作りも同時に重要であるということを再三教授が言っていたことだ。人とテクノロジーの共存、難しいが解かなければならないテーマである。

 

LEADING PEOPLE & TEAMS(組織行動論)

セッション数:15/評価ベース;グループ・プレゼン&レポート、個人・ファイナルテスト

企業内でどのようにリーダーシップをとったり、チームメイトをモチベートしていくかがテーマの授業。ほかの学校だと、Organizational behavior が近いのだろうか?どちらかというとソフトスキルの授業だという認識。ケースも人間関係や組織のトラブルを読んで、それに対してみんなで自分のバックグラウンドからだとこういうアプローチだ、と議論していく。正直、Term1では素早い議論についていきにくく、かつ僕がそういったことを体系立てて考えたこともなかったので、いちばん参加がしにくかった授業でもあるが、結構、今までの様々な企業の実績に基づいた模範解答は見せてくれるので、結構参考になった。教授は心理学PHDでIEの卒業生でもあるスペイン人女性。個別に授業のparticipationが芳しくない生徒にアドバイスをくれたり、とても親身。

 

MANAGERIAL DECISION MAKING(基礎統計)

セッション数:15/評価ベース;グループ・レポート、個人・ファイナルテスト

いわゆるビジネスでのシミュレーションに必要な統計の基礎を学ぶ授業。エクセルやその派生ソフトを使って、感度分析やリスクシミュレーション、ロジックツリー分析を行っていく。正直、まったくこの分野の授業を受けたことがなかったので、日本語の参考書がなかったら今頃死んでいただろう。入学前に少しだけこの手のことをオンラインのプレコースでやるが、授業も早く、ぜんぜん太刀打ちできない。グループメートでエンジニア出身の人がいて、彼はバリバリ課題を解いていたので、多分そっちのバックグラウンドの人に教えてもらうのも正解だったかもしれない。教授は最年少で、たぶん31歳くらいのギリシア人のナイスガイ。飲み会にも何度か来てくれたり、フレンドリー。

 

MANAGERIAL ECONOMICS(経済学基礎)

セッション数:20/評価ベース:個人・中間&ファイナルテスト

これまた僕は全くの門外漢の科目。基礎的なことを僕のような初心者のために網羅していく。僕は謎の数式が羅列してあると恐怖感を覚えるタイプなので、キンドルの日本語テキストがなかったら、テストは即死していただろう。(バックグラウンドがある人いわく、大学の基礎科目+αだろうと・・・)難しい計算式を覚えさせるというより、理屈を理解させたいためか、テストも選択式と、まさかのグラフ作成とショートエッセイ。結構これがつらかった。教授はこの科目もIEのエグゼブティブコミッティにもメンバーになっているペルー人。早口で、ちょっと訛ってて聞きにくかったが、慣れとは不思議なもので、5回くらい授業を受けると劇的に聞き取れるようになった。

 

MARKETING MANAGEMENT(マーケティング

セッション数:20/評価ベース:グループ・レポート&プレゼン、個人・レポート&シミュレーション

僕のバックグラウンドが一番生きた授業。マーケティングの基礎である4P分析、5 Force分析などからポジショニング、ブランド構築論、ブランドストラテジーと実際のビジネス実行の両立と問題点など多彩。課題もこれまた多彩で、Term1では一番手間がかかったであろう。ただ、その分、Term2以降の授業や、実際のビジネスの現場でおこる複合事象への対処の伏線にもなっていたと思う。ケースもちょっと古いけど、毎回、読みごたえがあった。ただ、ちょっと毎回の授業のサマリーはオーソドックスすぎたかも。(バックグラウンドがない人もいるので、シンプルにしたのだと思うけど)教授はMBAのAssociate DeanでケンブリッジPHDのドイツ人。欧米人は権威的でいやだと言っていたが、アジア人には好評だった。

ie business school report 6 Term2授業詳細

 

先週、Term2のテストが無事に終了。土日+1日の休みを経て、間髪を入れず今週からLab Periodに突入。私は最終的にIMBA in Practiceにて企業研修での単位取得となったため、今は帰国便の機内から、授業の感覚が忘れないうちに、各授業の概要をまとめておこうと思いパソコンをたたいている。(同じことTerm1でもやっておけばよかった・・・)

 

Term2では、Term1(これは次回以降で自分自身のためにも振り返る)で学んだ基礎がある前提で、7つの必修科目を履修していく。どの科目もMBA卒業後のキャリアを考えるとないがしろにできるものでなく、Term2に比べると少し専門性も増してくるので、グループワークに慣れたものの、授業への準備が大変だった。特にケースの分量も増えたため、主要な授業では、Perticipationポイントを稼ぐべく、なるべく事前に教授から出されるReflection Question(授業のポイントとなるケースポイントへの質問)に沿って、手書きのメモをまとめるようにしていた。

 

個々の授業に関しては、以下に記載する。学校選びの参考にしていただければ。

 

Business, Government and Society(企業政治学・社会的環境(政府、市民)へのなすべき対応)セッション数・10/評価ベース・グループ:レポート、個人;小テスト

授業のタイトルが早速うまく和訳できず申し訳ありません。

これは他のMBAでも同様のプログラムがあるところが多いようですが、米国のエンロン問題(不正会計を主導したのは某米国有名MBA卒業生だった)以降、金儲け一辺倒を目指したMBAプログラムに大きな批判が寄せられ、その影響もあってできたプログラム。

教授はカナダ人ネイティブで政治学専攻PHD。資本主義社会である以上、企業の営利活動はある意味当然の経済活動だが、社会には企業以外にも、政府、市民の大まかに2つの構成要素があり、企業の活動はこれらの2つの外部要因から大きな影響を受けるため、この2つの要素を加味したうえでの営利活動が求められることをケーススタディとディスカッションを通じて学んでいく。僕は結構好きだったプログラムだったが、毎回ケースに関する小テストがあり、これがTOEFLの細かなことを聞いてくる質問風なもので、結構てこずった。

日本企業ケース:トヨタプリウス

 

Corporate Finance(実践的コーポレートファイナンス基礎)

セッション数・30/評価ベース:グループ・レポート、個人・小テスト、中間テスト、ファイナルテスト

Term2で一番のボリュームの本授業。基礎、とつけたのは、この授業がファイナンスバックグラウンドでない人も理解できるように設計されているため。(Electiveに入ると、アドバンスコースが出現して、結構履修するとえぐいらしい)また、実践的、とつけたのは、卓上の議論だけではなく、実際、授業でエクセルで計算式を解説してくれるため。一通りのファイナンスの基礎を30回でカバーするので、毎回トピックが入れ替わり、結構バタバタ。僕はまさにファイナンスバックグラウンドがゼロなので、エクセルでさくさく式を入れながらファイナンスを学んでいく授業の運営に違和感はなかったが、バックグラウンドがあった人にはややものたりなかったらしい。(欲を言えば、もうちょっと具体的な事例とか理屈も欲しかったが)

教授はスペイン人で、スペイン最大手の銀行の投資部門出資の方で、めちゃくちゃチアフルの方だった。質問すると結構細かく対応してくれて助かった。

 

Critical thinking management(ビジネス社会学

セッション数・10/評価ベース・個人:ファイナルテスト

これもうまく和訳できない・・・。

通常Critical thinkingというと、なんだか論理的な考え方を学ぶように思えるのだが、この授業はそのイメージとはだいぶ異なり、ビジネス哲学という位置づけ。古代西洋の歴史や過去のバブルの話等を題材に、どのような社会的背景から、企業が生まれ、人々はどのような過ちを繰り返してきたか、そこから学び将来の企業経営に役立てることができる要素を学んでいく。

教授は歴史専攻のPHDの方で、カナダ人・ネイティブで話すのも早く、かつ、ケースの分量がはんぱなく(1回60ページとかあったことも)結構しんどかったが、その分、内容は濃かった。ただ、ファイナルテストが、GMATの難化版並みのリーディングボリュームと設問のレベルで、成績はいまいちであった・・・。

 

Entrepreneurial Venturing(起業アイデア実践)

セッション数・15/評価ベース;グループ・プレゼン2回、個人・レポート

IEの看板であるアントレのTerm2授業。Term1ではアイデアの抽出までを実践するが、Term2では抽出したビジネスアイデアPDCAに入れて、実現可能なビジネスプランであるかを検証する方法論を学ぶ。また、実際企業を視野に入れたす人に向けたファイナンス方法の紹介や、企業内起業(intrapreneurship)等の講義も。ユニークなのは個々のグループごとに教授とセッションがあり、プレゼン前にアポをとって、ビジネスアイデアについて個別指導をもらえるところ。教授が実際のVCの方であることもあり、実践的なアドバイスがもらえてよかった。

 

Managerial Accounting(工業簿記)

セッション数・15/評価ベース;グループ・プレゼン、個人・ファイナルテスト

Term1では商業簿記を学ぶが、Term2は工業簿記。レベルは簿記2級くらいか。渡航前にTACで簿記2級講座を取っていたためそこまで内容に違和感はなかったが、TACで3時間×10回くらいでやっていたことを英語で、かつ時間数は半分くらいでやるので、毎回授業がめまぐるしい。あと、英語での簿記用語がわからず、毎回調べるのにあくせくしていた。

教授はパワフルなフランス人(と思われる)女性で、MBAでは珍しく、教授側から指定した生徒に回答を求めてくることも多く、ちょっと緊張感も漂う授業だった。

*日本企業ケース:日産

 

Operation(オペレーション概論)

セッション数・20/評価ベース;グループ・プレゼン

概論、とつけたのは本格的な工場等の操業作業シミュレーション等は行わず、様々な業界(工場からサービス業、スタートアップ企業まで)におけるオペレーションの仕組みと課題を探っていくという授業であったため。(これはクラスによって教授が違ったので、ばらつぎがあったっぽい)僕にとっては、バックグラウンド的にも、今後のキャリア的にもそこまで重要ではなかったので、このくらいのあっさりとした概論的な授業が心地よかったが、物足りない人もいたらしい。(そういう人は、Electiveでごりごりのオペレーション・シミュレーションがあるのでそれを取るのだろう)教授はフィンランド人で、とても物腰がやらかい方で、自分でもベンチャー企業を持っていて、オペレーションの担当役員とのこと。個別にそっち方面の相談をしている生徒もいた。

*日本企業ケース:トヨタ、ホンダ

 

Strategy(企業戦略論)

セッション数・20/評価ベース;グループ:プレゼン&レポート、個人・ファイナルテスト

個人的にはTerm2で一番好きだった授業。20回の授業で差別化戦略、新規参入戦略、スタンダート化戦略、多様化戦略、国際戦略の基礎を一気に学んでいく。基礎的な財務諸表の読み込みやマーケ知識が必要になってくるため、Term1のおさらいも兼ねている。教授はスペイン人で、めちゃくちゃ早口。というのも、毎回のケースが本当は倍くらいかけてディスカッションしたいくらいのボリュームだそうで、とにかくがつがつ理屈的な部分は進めてくるが、ディスカッション時間はできるだけ取ってくれる。また、企業戦略はこれが正解、というものもないので、異なるバックグラウンドの生徒の意見を聞くのも役立った。最後のプレゼンは、僕がリードして戦略を立てる係となり、結構時間がかかったものの、良い仕上がりになったと思っている。(まだ成績がでてないので評価はわからないが・・・)

*日本企業ケース;任天堂、P&Gジャパン

ie business school Report5 ソフトスキル関連プログラム

Term2もいよいよ終盤に突入。毎回で恐縮ですが、ほんと時間が経つのが早い。(こっちに来てから、1日6時間は寝るようにしているせいかもしれないが)

 

学校のプログラムは、先週~今週にかけて提出が設定された各科目のグルーブ課題でほぼTerm2も佳境に。Term1では手探り状態だったグループメイトとのコミュニケーションや作業分担が、Term2ではお互いの性格や人柄がわかってきたせいか、少しばかり効率が良くなってきた気がする。ただ、Term2になってからリーティングの分量が増加しており、土日も心休まる?ひとときがあまりなく、あくせく奮闘。そんなこんなしているうちに、来週もうT期末テストに突入してしまうので、あっという間にMBAの前半が終了してしまいつつある昨今だ。

 

今回は、Term2の授業紹介をしようと思っていたのだが、その前に、いわゆる「ソフトスキル系」の授業について紹介したい。IEではTerm1~2にかけて、隔週にてBehavioral Fitnessという授業がある。これは

例えば交渉術、自己分析、自己課題の把握・改善プランの設定、キャリアを含めたライフプランの立て方、などな・・・。

今までの私の経験上、この手の科目は、はっきり言ってまったく実践に役立たないものであるという認識が刷り込まれていた。たとえば、大学、企業の研修等で、たいていの方はこのような類似の経験はおありだとおもうが、どこまで実際に役に立っていたのかは疑問符であったかと思う。

 

ところが、このBehavioral Fitness、すでに30代後半の私ですが、環境と心持が変われば、相当ためになることがわかってきたのである。

 

Term1では、自己分析結果をもとに、自分と同じ種類の学校生活上の悩みや課題を抱えるもの同士がペアとなり、同じ課題を共有しながら、お互いの課題解決に向けた目標設定~数週間経過後の目標達成度の確認までがカリキュラムに組み込まれていた。私が設定した課題は「授業中やグループワークの中で、いつ、どのタイミング、そしてどのくらい正確な内容を発言したらいいか測りかねる」という、結構アジア人にありがちなものであったのだが、ペアになったのはまさかの陽気なお国柄のブラジル人。最初はお互いペアに強制的にされたので超ぎこちなかったのだが、彼から実はこういうところに課題意識がある、ということを先に打ち明けてくれ、そこから一気に共感が生まれ、彼との心の壁がほぐれ、お互いいろいろなことを共有・相談し、どうやったら同じような課題を少しでも良い方向に持っていけるのかを話し合うことができたのだ。これは非常に貴重なきっかけで、自分だけで課題を解決しようとした場合、周りが見えなくなってしまい、独りよがりになりがちなのだが、他人も同じ課題をもっているので、僕の場合、自分だけではなく彼にも有効となる解決法を考えるためには、必然的に客観的な視点も取り入れていくことになったことが大きかったと思う。また、教授のアドバイスも(個人的には)的確で、課題解決の目標設定に大いに役立った。この課題はTerm2においても解決に向けて努力中なのだが、このきっかけがないと、なかなかこの年になって自分から行動パターンを改めるきっかけがなかったので、非常にありがたかった。また、副産物?として、この授業をきっかけに、ペアをくんだ彼とは急速に仲が深まり、いまではすっかり仲良しにもなったし、お互い声を掛け合って、最近はどう?と相談を持ち掛けられる相手もつくることができた。

 

そして、そのBehavioral Fitnessの一環として、Term2の先月中盤に「360度評価」が行われた。これは、事前にウェブで前グループメイトすべてに対して各々50項目以上の評価+フリーコメントフィードバックを行い、実際授業時間内に彼らとお互いに対面でフィードバックを行うというものである。

 

このグループメイトへの評価付けが、まずは予想以上に時間がかかった。5段階評価をつけていくだけなのだが、項目数が50以上に及ぶうえに、10週間ともに苦楽を過ごした仲間でもあるので、なかなか極端な評価(特に低い評価)がつけにくかった。しかしながら、ここで日本的にすべて真ん中の評価にするとわけがわからなくなるので、できる限り濃淡を自分なりに各項目つけていった。更に困ったのがフリーコメントで、日本ですら、会社のチームメイトに文字にのこる形で評価を付けたことがなかったので、どこまでかいたらいいのかわからず苦戦。グループメンバーによって関係値の濃淡があったので、そこまで正直コメントを思いつかないメンバーもいたり・・・。結局、記入に数時間を費やしてしまった。

 

当日の授業では、特設サイトに自分のグループメイトからのアンケート結果がすべて集計されてレポート化されており、まずは教授がレポートの読み方を解説。その後、前グループメイトと久々の再開を果たし、直接フィードバックのコメントをもらうミーティングが設定された。このミーティングで私が新鮮だったのは、良いことも、悪いことも、ダイレクトにお互いに言い合うというカルチャーだった。僕の周りの社会人になってからの環境だと、良いことはまだしも、悪いことを直せ、とダイレクトに言ってくれる人って、新人のころの教育担当の先輩くらいしか思い出せないのだが、まさに教育担当の先輩に近い親身なアドバイスを与え合うのがこの前グループでの360度評価ミーティングだった。私も自分のもちうる(限りうる)英語力を振り絞り、なるべく相手が役に立つコメントをしようと努力した。やはり、どのメンバーも修正したほうがい良い点を指摘するのには言葉を慎重に選んでいたのは、大人のMBA学生同士の評価なのだとも思った。(一部、バトルになってしまったり、号泣する生徒が出てしまったグループも過去あったらしいが・・・)

 

この中で僕が改善点としてあげてもらったのはは、「発信量」をもっと増やすべきだ、ということ。自分としてはコミュニケーションを精いっぱいとっていたつもりではあったが、振り返ってみると、Term1は、英語力、そして外国人の気迫に負けて、話すタイミングを逸する授業や会議も多かった。そのため、発言はいろいろ聞く価値はあるのだが、もっといろんな場面で意見を聞きたかった、ということをダイレクトに言われた。ここで改めて気づいたのが、(最近はそうでもないのかもしれないが)均質化された文化の中で育った人がほとんどの社会の中でと、ダイバースな環境の中での情報発信は異なるやり方をとらないといけない、ということだ。機会をうかがって発言しない、また、雰囲気で伝えようとする、というのは、国際化が進む中、ますます僕個人、そして日本人全般的な価値を下げてしまうのかもしれないと危機感を覚えた。

 

また意外だったのは、自分ではそこまで気にかけていなかった効率性、自己規律、そしてまさかの柔軟性がグループ内でトップ評価だったこと。特に、最後の「柔軟性」は、知らず知らずだが、日本での学生生活と社会人になってからの経験のなかで身についていたのだろうか。確かに、いろいろな経験はしてきたほうかもしれないので、大量の課題がある中でもそんなに取り乱すこともなく解決に向けた道筋を考える、というのは国際的にみても慣れているほうなのかな、と思った。

 

ソフトスキル系のプログラムは、やもすると、否定的な意見も多いし、直接今後のキャリア(就活をする人は内定ゲットに、会社に戻る人は昇進?に)に結びつかないと考えるかもしれない。しかし、僕は、逆に、このソフトスキル系のプログラム充実は、私のような年食った学生には、もしかしたら最後になるかもしれない自分自身を振り返る新鮮な機会を与えてくれたと思っている。そして、今後の自分の軌道修正を行うよい材料になっていくと確信している。